兵庫県で働く人たちのダイアリー

兵庫県でいろいろな仕事に
就いている20代~30代の4人。
職業もライフスタイルも異なる4人に
「兵庫で働く」魅力を日記にしてもらいました。


宝塚市出身
マルチに活動するアーティスト

明石圭以さん

テーマ

「“僕だからできること”を探してチャレンジしています」

僕が焚き火カフェを
立ち上げた理由

2020年当時、大学4回生だった僕は卒業旅行のプランニングを中学校からの同級生2人としていました。「やっぱり海外に行こう!」「でも普通に観光も面白くないな」と話は動いていきました。そこで僕は、

1. 日本で焼き芋ブームが来ていること
2. 東欧の主食がイモであること
3. にも関わらずヨーロッパで焼き芋文化の知名度が皆無なこと
4. 安納芋の産地である種子島に友人がいること
に気付き、全てが繋がりました。

そして僕らは「海外で焼き芋を売ってみよう、どうせゼロからのスタートなら革新的で先進的なかっこいいブランディングで焼き芋を広めてみよう」と考えました。
芋とemotionをかけてemo、そして海外向けにわかりやすくTokyoをつけたemo TOKYOというシンプルな名前をつけて。

しかし、“卒業旅行”の計画を進める最中、コロナが始まりました。
海外旅行など当たり前ですが出来ない状況になり、一旦その計画は頓挫。
そこで猪名川町で元々母が骨董屋を開いていた場所を使って「焼き芋を提供する焚き火カフェをやってみよう!」となったのがemo TOKYOの始まりです。
まさに世界的に広がったコロナのパンデミックがターニングポイントになりました。
そしてその後も様々な個性豊かな仲間が集まり、emo TOKYOは2023年8月淡路島にも2店舗目をオープンしました。

カフェという形は本当に面白いです。
なぜならemo TOKYOは他のカフェとは違い、オフラインサロンのような(僕たちは文化の交差点と呼んでいます)、様々な属性の人たちとの社交場でありコミュニケーションの場になっているからです。
実際、老若男女、人種、職種問わず、様々なお客さんが僕らのお店を訪れてくれて、その度にプチ文化交流のようなコミュニケーションがそこに生まれます。
ジャンルを問わない出会いや学びもあります。
emo TOKYOとしても、アパレルや農園、写真や音楽など、スタッフたちの引き出しは幅広く、その都度異なったコミュニケーションのアプローチを取れるのも強みです。
今後もemo TOKYO内部だけではなく、お客さんや地域の方たちとのコミュニケーションからどのような化学反応が生まれていくのか僕自身期待していますし、楽しみです。

淡路島での1日、
朝と夕方の楽しみ

2023年11月現在、淡路島店、猪名川店、そして音楽活動とで大阪と淡路島を行ったり来たりする生活を送っています。
どうしても実家(大阪)に滞在する時は、どこか気が抜けてしまって朝からなかなか締まらないのですが、
淡路島の朝は違います。
空気、景色、音、全て新鮮で清々しい。
こんなに気持ちの良い朝が迎えてくれるのに、朝を味わわないと勿体ない!
そういう気持ちにさせてくれるのが淡路島の環境とそこでの暮らしです。
朝は基本的に運動(ランニング)と開店準備、畑の水やり等が主ですが、時間が許す時は深草にある八幡神社、そして西濱神社にお参りにも行きます。
特に西濱神社は明神岬という、店から一番近い岬にある神社で隠れたパワースポットです。

淡路にお越しの方にはぜひおすすめの場所です。

夕方は日本の夕陽百選にも選ばれている絶景が見られます。淡路島を太陽が赤く照らします。

僕らのお店がある場所はおそらく淡路西海岸でも一番長い直線の道路沿いに面していて、かつ電線など視界を遮るものが何一つありません。
2Fのテラス席から見る夕陽は淡路島でもトップレベルの絶景ではないかな?と自負しています。
太陽が完全にセットした時点で帰ってしまうお客様や、観光客の人は多いですが、
個人的には太陽が落ちてからの空の余韻、なんとも言えない昼と夜の境界線の雰囲気も大好きです。

道の向かいにある自販機が1番明るい程、夜は漆黒の闇に包まれます。
夜も淡路の魅力は尽きません。
なんといっても満天の星。
閉店後、お店の電気を全て消して真っ暗になると、
夜空満天に広がる星。夏はイーロン・マスク率いるスペースXのスターリンク衛星がくっきりと見えた程です。
地元の方によると、冬が1番きれいな星空が見えるそうで、これからの季節も本当に楽しみです。

時の流れを愛でる
猪名川町での1日

淡路島も素晴らしい場所ですが、猪名川町も負けてはいません。
emo TOKYOは猪名川町でも1番南に位置していて、比較的住宅街や市街地から近く、川西能勢口駅から県道12号線で15分ほど北上。
ちょうど“住宅街”と田園風景が始まる“田舎”の間に位置しています。
なので淡路島と同じく都会からのアクセスは良く、尚かつ都会や市街地では味わえない風景や文化を堪能できるという良いとこ取り区域です。この辺りには瓦屋根の古き良き日本家屋、雰囲気を醸し出す土蔵、雄大な田畑が織りなす豊かな田園風景、 ハイキングコースで人気の多田銀銅山や、星空の名所である大野山などがあり、ちょっとした週末のプチ観光にもってこいの魅力あふれる地域です。

猪名川店は淡路島と違い、夕陽も見えませんし、広大なオーシャンビューがあるわけでもありません。
ただ共通しているのは、“時間を消費する”のではなく、ゆったりと過ぎゆく“時間の流れを愛でる”ことができる落ち着きや、チル(ゆっくりする・くつろぐ、まったりと過ごすの意)があるということです。

澄んだ空気、季節ごとに表情を変える自然、農家さんが耕す田畑の土の匂い、耳をすませば野鳥のさえずり、パチパチという焚き火の音……。
こうした落ち着ける空間だからこそ、五感を最大限に使い、その瞬間瞬間をじっくりと味わえる。
もしかすると気兼ねなく五感を解放できるからこその本当の安らぎ、チルなのかもしれません。

emo TOKYO Inagawaでも僕は、焚き火をしているお客さんたちに弾き語りをしたり、コミュニケーションをとることを欠かしません。土日に来るお客さんの多くは焚き火をしながら、コーヒーを飲みながら、夜空を気持ちよさそうに仰いでいる方が多いです。日頃のストレスや悩み、疲れを優しく包み込める環境が、ここにはあるそうです。

田舎に住むということ

人生というものはRPG(ロールプレイングゲーム)のようだと僕は勝手に思っています。
生まれながらにそれぞれ自分の役回りがあり、それも人生のステージと共に移り変わっていく。
そうやって一人ひとりが自らの役割を全うしながら、
支え合い、助け合いながら一つの大きな形を作っていく。

田舎に住んでいて思うのは、そのRPG感(ソサエティーの中での自分の立ち位置や役回り、人とのコミュニケーション)がより具体的で鮮明であるということです。

昔ながらの物々交換のような、ほかほかした(血の通った)温度感のコミュニケーションがここにはあります。
近所の喫茶店のおばさんにうちの畑で採れた大根をお裾分けする。すると今度はお返しに立派な鯛をくれる。
居酒屋のマスターと仲良くなってネット検索では到底見つけられないような地元民ならではのネタ(情報)を教えてもらう。
釣り好きのお客さんと話すことで、その人が釣り道具一式を貸してくださり、一緒に釣りに連れて行ってもらえる。ローカルの釣りスポット情報というおまけ付きで。
釣れた魚を今度は知り合いの居酒屋さんに持って行って、さばいてもらう。
海水浴場の散歩中に出会ったおじさんがお店に来てくれる。
まるで地元やローカルの方々の愛情が、僕のスポンサーになって、それが一つのライフハック(生活をより豊かに快適にする鍵)になる。
周りへの気遣いや感謝、自分だからできることを還元していれば、おのずとやりたいコトが形になっていく。
そんな暮らしは、生活に必要なのは必ずしもお金だけではないのだな、と気付かせてくれます。

これからの時代には
農業が必要だ

2023年10月2日(月)快晴。
淡路島の五色町という所でemo farmという農園を運営しています。
そして今日はいつもと同様、水やりと除草作業。

なぜ農業を始めたのか? これからの時代は絶対に農業が必要であると信じているからです。
というのも、今まで(テクノロジーの進化と共に)第1次産業が完全に過小評価されてきた背景があります。ITやAIといった先端技術ばかりが注目され、太古より紡いできた農業というものはどうしてもスルーされてきました。
若者はみんな同じように都市部へ流出し、地方の空洞化は顕著になりました。
テクノロジーや文明が進歩し、簡単にモノや食べ物が手に入るようになった時代、それに伴い、その食べ物に関する感謝と関心が段々と薄まるという事態が起きています。
国民の関心が低いこともあり、日本の農業の可能性を十分に発揮させることができていない政策が多いと思います。

だからこそ自分たちの生活を守るため・食を守るため、そしてより身近に生を実感する上でも農業はとても良い取り組みだと思います。

僕たちの農園では全て農薬を使わないで野菜を育てています。
まだまだ今年から始めたばかりの農業初心者ですが今は玉ねぎ、人参、ほうれん草、えんどう豆、大根などを育てています。

その日に採れた野菜は、そのままカフェの方に持って行きカフェでも野菜を販売したり、実際に食材として使ったり。将来的には「自然農にもチャレンジしてみたい」と思ったり思わなかったり(笑)。

土を触る、踏みしめる、きれいな空気を吸う、農作物や動物をはじめ、様々な“生”を目の当たりにする。
都市部では有難い光景がここでは当たり前のようにあります。
当たり前にあるからこそ、それを当たり前と思うのではなく感謝しています。

emo TOKYOと音楽

emo TOKYOを運営する傍ら、もちろん音楽活動もアクティブにしています。

今はまだスタッフの人数が少なく、また開店して間もないため、どうしても音楽活動に割ける時間が限られていますが、それでも月に3〜4回はライブなどを行っています。

emo TOKYOのメンバーとともに結成した”91wine“は2年前くらいに始まり、今ではオンライン(Apple MusicやSpotifyといったストリーミングサイト)でのリリースをメインに活動をしています。

また小学校の後輩であるギタリスト 日下璃球(くさか・りく)とのデュオ“Roots Dawn”は、ちょうど1年前くらいから活動を始めました。
YouTubeやTikTokで、主にカバー曲を発信しています。

僕のスタンスは「基本的にどんなところでも歌う」。なので大阪・堂島のシティーホテルのラウンジで歌う事もあれば、能勢電鉄さんのイベントでは妙見山で歌ったり、赤穂市のうね地区の町おこしイベントに出演させてもらったり。学生の頃にはNYのアポロシアターで歌った経験もあります。

機会があれば色んなところを縦横無尽に奔走しています。

そしてもちろん、emo TOKYOのカフェでの店内演奏も欠かしません。
基本的に焚き火カフェ emo TOKYOでは、猪名川店でも淡路店でも僕が出勤している時はお客様に弾き語りのサービスを行っています。
あくまでも弾き語りはお客様とのコミュニケーションの一環ですが、不定期でもう少し本格的に音響設備も用意したライブイベントも行っています。
先月は淡路店の方でサンセットライブということで、夕陽と海をバックに店内ライブを行いました。

「なんだか得した気分になる」「優雅な時間だったわ〜」「贅沢だね〜」そうした声を頂くことが多く、自分自身とても嬉しくシンガー冥利に尽きます。
やはりこれは僕だから出来るコミュニケーションであり、おもてなし。
今後も続けていきたいです。


姫路市出身
2018年朝来市に紅茶専門店を開業

加藤菜穂子さん

テーマ

「憧れの田舎で、子育てしながら紅茶と自家製スイーツのお店を」

2023 9/23(土・祝)
ティールームでの仕事

「tea room kotori」は世界各国の紅茶と自家製スイーツが人気の紅茶専門店です。
木・金・土・日・月と週5日営業しています。
たっぷりの紅茶をポットで提供し、淹(い)れ方にもこだわってより美味しく飲んでもらえるよう研究しています。

いち押しメニューはスコーン、ケーキ2種、キッシュ、ハヤシが盛りつけられた「アフタヌーンティーセット」。
このセットを目当てに京阪神からたくさんのお客様が訪れてくれます。
「美味しかったよ!」と喜んでくれたお客様の声や、ゆっくりと会話を楽しんでくださっている姿を見るのが大好きです。

一方で課題は、作りすぎて余ってしまっては困るのでどうしても最終営業日が品薄になってしまうこと。
せっかく来てくださったのにケーキが少ない…といった状況が解決できないか考え中です。
また、赤ちゃん連れのお客様も平日に多く、赤ちゃんと一緒でも安心してゆっくり過ごせるお店づくりも課題です。

2023 10/7(土)・10/8(日)
地元の秋祭りに参加

5年ぶりの秋祭り。待ちに待ったという感じです。
子ども二人は気合十分。お姉ちゃんは子ども屋台のたいこをたたき、弟も最後まで屋台と一緒に歩きました。お姉ちゃんは10日前からたいこの練習に励んでいました。
朝来市は大人と子どもの距離も近く、それぞれ気にかけ、面倒見も良いです。子どもたちは

「たいこの音が胸にどんどんひびいてきた!」
「お友達と一緒に参加できて嬉しかった」
と感想を言っていました。
屋台と一緒に練り歩き、町の隅々まで見ると、再発見がたくさんありました。
子どもの人数は少ないですが、祭りなどの伝統行事が、若い世代にしっかり引き継がれていると感じました。
たいこの練習も若い世代が中心になって子どもたちに指導してくれました。
来年の秋祭りも楽しみです。

2023 10/17(火)
紅茶の仕入れに芦屋の
MUSICA TEAへ

休日はよく買い出しに行きます。
この日はいつもお世話になっている芦屋の老舗紅茶専門店「MUSICA TEA」に茶葉を仕入れに行きました。

この日はチャイに使うアッサムCTCを購入。
たくさん並べられた紅茶に毎度ときめきます。

スタッフの皆さんも気さくであたたかく、この日のおすすめはルフナと教えていただきました。「MUSICA TEA」には「tea room kotori」を開店する際、紅茶のラインナップや美味しい淹れ方をアドバイスしていただきました。
憧れの紅茶屋さんです。

2023 10/27(金)
“夢を育む” 生野高校生×tea room kotori ゆめいくコラボ

今秋から地元の生野高校生と“ゆめいくコラボ”をしています。
“ゆめいく”とは「夢を育む」といった言葉の由来があるそうです。

テーマは地元の特産品である生野紅茶を使ったお菓子づくり。
カヌレ、ヴィクトリアケーキ、スフレ、フルーツタルトを試作中です。

打ち合わせでは意見もよく飛び交います。現役高校生のアイデアはとても新鮮で刺激を受けながら作っています。
今後はパッケージや価格の決定を行い、クリスマスに販売を目指しています。

2023 11/5(日)
IKUNOお散歩マルシェに出店

所属している生野マルシェの会が主催する「IKUNOお散歩マルシェ」に出店しました。
紅茶・スコーン・キッシュ・ケーキを販売。天気も良く開店からたくさんのお客様!
今までの開催の中で過去最高の入場者数でした。

数日前からがんばって仕込んだお菓子が瞬く間に旅立っていきました。
たくさんのお客様がお買い求めくださりとても嬉しかったです。

4年ぶりの開催なので懐かしい人にたくさんお会いすることができました。
会場は「甲社宅」という生野銀山で働いていた方の社宅跡で、趣のある建物でのマルシェは雰囲気も良くにぎわいました。
お客様もスタッフも笑顔が最高でした!


秋田県出身
2023年から豊岡でリンクワーカー

佐藤春華さん

テーマ

「地域の皆さんが“よりよく生きる”お手伝いをしたくて移住しました」

↑新卒で就職した療養型の病院で同僚と2ショット

秋田県生まれの私が
豊岡市にきた理由

私は大学時代の看護学実習をきっかけに、終末期医療に興味を持つようになりました。受け持ちの患者さんの最期がとてもあたたかい時間であり、そのようなケアの実現に関わりたいと思ったからです。そして終末期ケアの病院として有名な療養型の病院(人生の最期まで入院する方の多い病院)に就職し、そこでの経験から、最期という“点”へだけではなく、それまでの人生の時間への継続的なアプローチが必要だと思うようになりました。

その後も、コミュニティナース・地域活動支援・訪問看護など様々な仕事を通して、人がよりよい時間を過ごすための要因は「病気がないこと」だけではないと感じるようになりました。

心身の苦痛が少なければ生活上の困難感は下がると思います。しかし、どんなに医療者が治療を施しても、その方自身が「生きたい」とみずから思えなければ、生きながらえても幸福とは限りません。「明日も楽しみだな、もっと生きたいな」と思えることは、最期までの継続的なアプローチに大切な要素だと考えました。

その実現方法のひとつとして、薬を処方するのではなく、地域とのつながりや地域でのやりがいを見出していく「社会的処方」に興味を持ちました。そしてこの社会的処方を地域住民の方に効果的に届けるうえで「リンクワーカー」という役割が大切なのだと知り、さらに豊岡市でのリンクワーカー募集を耳にして、移住を決めました。

リンクワーカーの仕事とは?

「社会的処方」において、リンクワーカーは市民の身体的・精神的・社会的ニーズを捉えながら、場や活動と人をつなげる伴走支援をしていきます。そのために必要なこととして、市民のニーズを把握する機会を作ることと、地域資源の把握と探索があります。

具体的な活動としては、「居場所の相談所」という相談窓口を設けており、市民の多様な相談に乗っています。

例えば地域で孤立している方がいらっしゃれば、興味・関心のありそうな活動団体を紹介したり、気軽に立ち寄れそうな「サードプレイス」となり得る場の情報提供をします。相談者さんにお伝えするだけでなく、相談者さんに了解を得て、受け皿となる団体の方にも事前に情報伝達をします。また、悩みの解決に結びつきそうな医療・福祉等の専門機関があればそちらへおつなぎします。

↑「居場所の相談所」のチラシは、だいかい文庫や市内の色々な施設で配布している

「居場所の相談所」の利用者だけでなく、現在拠点としている「だいかい文庫」を訪れるお客さんとの日常的な会話の中から身体的・精神的・社会的ニーズを捉えて対策を考えて(アセスメントといいます)、地域の活動や団体を紹介することもあります。

紹介をするためには、地域資源の把握と探索が欠かせません。そのために、色々な行政の窓口、市民活動団体、地域のサークルなどの情報収集をしています。オフィシャルになっている情報も掴みながら、普段から自分で市内のイベントに出かけたり、いろんなお店に入るなどして、「オフィシャルになっていない」情報も得られるように心がけています。

↑だいかい文庫の居心地の良さは皆さんで作るもの。ドライフラワーは利用者さん提供

毎日新たな発見や気づき
があり、これからが楽しみ

先日、「地域での居場所のなさ」について相談に来て下さった方がいました。だいかい文庫で過ごしながら色々な方に出会ってみることを提案したら、少しずつ知り合いが増え、お会いするたびに表情がとても明るくなっていきました。

以前はだいかい文庫に来ても、ご自分から誰かに話しかけたりされることはなかったのですが、今では自らコミュニケーションをとったり笑ったり、時折スタッフに心のうちを話して下さったりしています。

このように自分らしく過ごせる場所が地域の中に増えることは、その方のウェル・ビーイング(個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念)に寄与しているのではないかと思いますし、やりがいを感じます。

とはいえ、私はまだまだリンクワーカーとして未熟だと思います。未熟さゆえに悔しいと思うこともありますが、新たな発見や気づきもあり、これからが楽しみだと日々感じながら働けていること自体が楽しいです。

豊岡は人があたたかくて、
ごはんが美味しい

住んでいる豊岡市で「いいな」と思うところは、何と言っても、人があたたかいところです。

リンクワーカーとして目の前の豊岡の皆さんのために出来ることを考える毎日ですが、むしろ私を支えて下さる方々がたくさんいます。この7カ月で色々なことがあり「疲れたな」「しんどいな」と思うこともありましたが、豊岡の皆さんが心配して下さったり労って下さったりして、いつも救われています。

↑日本海産の白イカの握りずし
↑冬はやっぱりおでんに惹かれます

豊岡市は地域おこし協力隊が全国の中でも多く、その他にも移住者もたくさんいらっしゃいますが、地元の皆さんの受け入れが大変柔軟で非常にありがたいなと思っています。地域によってはよそ者に対して排他的にもなり得ると思うのですが、そんな雰囲気は感じたことがありません。

あとは、ごはんがとっても美味しいんです。豊かな自然の中でとれる農作物、すぐ近くの日本海からの新鮮な魚介類など。チェーン店ではない個性豊かな飲食店も多く、どこで何を食べるか迷うのもまた楽しいです。


丹波篠山市出身
2015年株式会社いなかの窓設立

本多紀元さん

テーマ

「大学卒業後、ふるさとに戻り、地元の魅力を発信しています」

2022年12月2日(金)
地元でWEB制作とデザイン制作の会社をスタート

株式会社いなかの窓は2015年1月に、地元の同級生3人とUターンで設立したWEB制作とデザイン制作の会社です。
「自分たちの得意なことを活かして丹波篠山を活性化しよう」ということで始まったいなかの窓。設立当初の3人はそれぞれ市内の別の会社で頑張っていて、現在は代表の本多と6人のメンバーで活動をしています。
せっかくだから集合写真でも撮りますかということで、丹波篠山を代表する観光スポット「篠山城跡 大書院」の前で写真撮影。とにかく楽しい感じで撮ったこの写真は特に使い道がないのでここで公開します。

もっと詳しく
起業の経緯

人口流出・少子化が進み存続できなくなるおそれがある自治体をリストアップした「消滅可能性都市」に丹波篠山市が掲載されていることを知り、Uターンで同級生3人と株式会社いなかの窓を設立しました。
当時、丹波篠山市に情報発信を担う会社がなかったことから、情報発信で地元の魅力をPRすることで丹波篠山市の地域活性化を図れるのではないかと考えました。最初は特に仕事がありませんでしたが、設立して1カ月後ぐらいに地元紙に取材していただき、それをきっかけにして少しずつ仕事をいただけるようになりました。当初の目標は丹波篠山市の公式観光サイトのリニューアル依頼をもらうことでしたが、2019年にその夢が叶いました。

2023年3月21日(火・祝)
「とにかく面白い企画を」と頼まれた時は…

丹波篠山市からの依頼でコスプレチャンバラ合戦を企画しました。「とにかく面白い企画をやってほしい」という、困ったときの頼みの綱として、たまにこういった依頼が舞い込みます。以前はコロナ禍で中止となった地元のデカンショ祭のオンラインバージョン「オンラインデカンショ」という事業も行いました。
チャンバラ合戦は、子どもの部では約100人、大人の部では約40人の参加があり、僕自身もコスプレをして参加することに。市のマスコットキャラクター「まるいの」の偽物「ほそいの」は、僕のもう1つの姿です。市の非公認キャラクターとして、一部のニッチな人気を獲得しているとか、いないとか。こういう賑わいのときにたまに出没します。

ちょっと一言
都市部との違い

Uターン前は神戸市や東京の渋谷にも住んでいたことがありますが、丹波篠山市は町全体にゆったりとした空気が流れていて、会社から一歩出ると仕事のことを忘れてのんびりしたくなるような風景が広がっています。町を歩けば声をかけていただいたり、居酒屋で飲んでいると知らない間に誰かが会計を済ませてくれていたりと、適度な距離感だけど温かい人間関係が構築できる町です。地域外の人と交流するときに「丹波篠山市の人は優しくて温かい人が多い」とよく言われますが、振り返ってみると確かにその通りかもなと感じます。

2023年9月18日(月・祝)
青年会議所の活動を通じて培っている人間力

会社設立と同時期に入会した一般社団法人丹波篠山青年会議所では、持続可能なまちづくりを目指して、同じ志を持った20〜40歳のメンバーとまちづくりの事業を行っています。単年度制の組織で、2023年度には第54代理事長をさせていただいています。9月の例会では子どもたちと一緒にカレーを作る事業を行いました。
大学卒業後に社会経験が乏しいまま起業したので、青年会議所では組織運営やあらゆるマナーを学んでいます。直接お金につながらないし、時間もそこそこ使う組織なのですが、どんな状況でも前向きに捉える気概とかコミュ力とかプレゼン力など、人間力と称される能力が身についたと思いますし、青年会議所を通して市内外でたくさんの人と出会うことができています。

2023年10月16日(月)
高齢者向けスマホ教室の講師も務めます

高齢者を対象としたスマホ講座を毎月1回実施しています。SNSの使い方やインターネットでの検索方法など、なるべく分かりやすく楽しく学んでもらえるように教えています。いくつになっても新しいことを学ぼうとする姿勢は素晴らしいなと思いますし、僕自身もそうありたいなぁと考えたりします。「若い人と会話する機会が少ないから楽しい」という好評もいただいています。学びやコミュニケーションがお年寄りの方々のエネルギーになっていたらいいなと思います。

ちょっと一言
兵庫県の中でも丹波篠山市がいいと思うところ

兵庫県の中でも丹波篠山市は、京都と大阪に近く、どちらにも1時間程度でアクセスできる点は魅力だと思います。実際に丹波篠山に住みながら、大阪や京都で働いている方もたくさんおられます。丹波篠山市は、都市部から1時間でアクセスできて、自然や美味しい食、人の温かさに触れられる便利な田舎ではないでしょうか。キャンプ施設や農業体験など豊かな自然の中で日常の疲れを癒やすことができます。

2023年11月2日(木)
「地域の人が困っている時」が僕たちの出番

一応、職業はWEBエンジニアと名乗っていますが、社長としての仕事は、外に出てお客様とのコミュニケーションを取ることや経営について考えることが多いです。
会社も、WEB制作会社と名乗っていますが、パソコンの困りごととか、ITと全然関係ない企画の会議とか、セミナー講師とかもしています。
地域の人で困っている人がいて、その課題を解決できるのが市内で自分しかいないとか、いなかの窓しかないとかだったら、やるべきだなと思って活動しています。都市部だったらITだけでもいろいろな専門業者がいますが、丹波篠山市では全然そういう業者がいないので、とにかくなんでもやります。幅広い知識と経験が必要になりますが、チャレンジ精神が身に付くのと、自分にしかできない仕事だと考えるとやりがいがあります。

もっと詳しく
仕事のしかた

「丹波篠山市の魅力を情報発信で伝える」という目的で会社を設立したので、弊社での仕事のほとんどが市内の事業者さんや自治体がお客様です。WEB制作は作ったら終わり、ではなく、作ってからの運用が大事なので、お客様にとっても、呼んだらすぐに駆けつけてくれるとか、WEBに限らずパソコン関係の相談にも乗ってくれるとか、単純に世間話がしたいとか、身近にいるからこその信頼感を持ってもらいながら仕事をさせていただいています。弊社では営業活動や宣伝はほとんどしておらず、多くの方が口コミや普段の交流の中でお仕事を依頼していただいています。