孤立して子育てしてはいけない。そこはずっと変わらない

投稿日2022.3.7

  • NPO法人「子育てサポート☆きらりing」理事長
    • 下村 千登勢さん
    • 兵庫県加古川市

Interview

go to Future

#02 Shimomura Chitose

加古川駅南と東加古川の2拠点での「子育てプラザ」の運営をはじめ、さまざまな子育てに関する取組を地域とともに行っておられる、NPO法人子育てサポート☆きらりing理事長の下村さんに、東加古川子育てプラザにてお話をお伺いしました。
(2021年3月19日(金))

みんなで子育て、みんなで支え合う

NPO法人子育てサポート☆きらりingは、前理事長が立ち上げました。前理事長は、もう30年以上も前から加古川市で子育て支援に関わってこられて、兵庫県がつくった「両親教育インストラクター」もやっていました。当時、県が家庭や地域の子育て力を育むことが必要だということで、インストラクターを各市町においたというのは本当にすごいと思いました。

NPOの理念は「子育ては学習」であるととらえ、子育てサークルの育成やネットワークづくり、親になる前の世代からシニア世代など多世代が関わることで、「みんなで子育てをする、みんなで支え合うまちづくり」ということをコンセプトに活動をしています。

地域に根付いた子育てということが絶対必要。地域の人々、企業、団体なども関わりながら、巻き込みながら子育てをしていくということが大事だということで、様々な事業を展開しています。

思いに共感できる人が支援者に

私自身も子育てサークルで活動していました。前理事長もサークル活動をした人は、母親の気持ちもわかるし、きっと支援者になっていくと考えていたようです。この子育てプラザのスタッフも、元々サークルに参加してくれていた人が働いてくれています。サークルに参加していたからこそ分かる、その母親の思いであるとか、いろんな悩みであるとか、きっとよく分かってくれるだろうという思いがすごくありました。

子育てには多世代が関わる必要がある

子育てに関して、子育て世帯だけをターゲットにしても解決しないと考えています。親になる前の世代やシニア世代向けの講座をしていますが、やはり、今の子育ての事情とかを理解してもらわないと、支援にはなかなかつながっていきません。

そのような多世代が関わることができる取組を続けてきたので、子育て支援の施設ではありますが、いろんな世代の人が集まってきてくれます。そうやって集まってきた人たちが、ここで学んだことを、また地域に戻って、広めてくれるという、よい循環が生まれています。

地域の人の「得意」を発揮してもらっている

「加古川子育て応援団」というのをつくっていて、地域で子育てを応援してくれる人が150人ぐらい登録してもらっています。イベントや託児ボランティアなど様々な事業で大学生から高齢者まで幅広い年齢の方に手伝ってもらって、それぞれの得意なことを発揮してもらっています。

お母さんのニーズに合わせて変えていく

情報発信の方法が変わってきたと感じています。ホームページやSNSにあげていかないと、お母さん方も、紙よりもインターネット環境にいるので、環境の変化にあわせて情報発信の仕方も変えていかないといけない。

お母さん方のニーズも変わっているので、子育てプラザに来られるお母さん方の声を聞きながらニーズに応えています。例えば、働く人が増えているので、土日の講座を増やしたり、その方たちも参加しやすい形で実施しています。

実際にきてもらうことを大切にしたい

コロナ禍では、子育て中の皆さんは、行く場所がなくなってどうしているのだろうかと思っていて、やっぱり開館しておかないといけないなというのも、その時に改めて思いました。開いていると思うだけで少しでも安心するんですよね。

電話相談も受け付けていましたが、なかなか電話をかけるのも勇気がいることだと思います。直接会って、何気ない話の中から気づくことも多いです。

動画配信などもやりましたが、実際に来てもらうことを大切にしたいと思っています。会って話すのはやっぱり全然違う。利用者の人も会って話したいという声がたくさんありました。喋ることでわかることがあります。ただ、来れない人もいらっしゃるのは理解していて、何かをしないといけないとは考えています。

子育ては一人では絶対できない。30年経とうが変わらない

今日の午前中も、一人目の子どものことで何もわからなくて不安で相談に来られた方がいましたが、インターネットで情報があふれていて、ありすぎて何を選んだらいいのか、何が正しいのかわからないとのことでした。情報がありすぎて、逆に不安になってしまうということもあります。どこに相談すればいいかもわからない。

親を孤立させてはいけないというのは、何十年も前から言われていますが、それは今も変わりません。
今は、すぐ何でも情報が入ってくるし、ネットでの申し込みももっと普及したらいい。便利なものは使うのは全然構わないが、それだけではなくて、人との関わりは絶対必要。

子育ては一人では絶対できない。そこは30年経とうが変わらない。孤立した中で子育てしてはいけないというのは変わらない。豊かな人間関係は絶対必要。

在宅で子育てするお母さんへの支援

在宅で子育てを頑張っているお母さんに何か支援があればいいなということで、託児サービスをしています。後ろめたい人もいて、そんなことないとは言っていますが、自分の時間は絶対必要なので、リフレッシュに使ってほしい。

もっと気軽に利用できるようになればと考えています。

もっと若者の活躍を盛り込んでほしい

ビジョンでは、若い世代の活躍という部分をもっと充実してほしい。若い世代には、親になる前から子育てについて学んでほしい。将来も見えるし、知っていることでストレスが減ることもあります。自分たちも子育て支援ができるんじゃないかと思っている人はたくさんいますし、そうした人が関わることができれば地域が元気になります。

私たちも大学などと提携していろいろやっているので、若者の活躍をもっとビジョンに盛り込んでもいいと思います。

身近な遊び場の必要性

身近な場所に遊び場がなかったり、あっても整備がされていなかったり、古かったり。放置され、手入れされていないところが多くて、子供たちが外で遊ぶ場所がありません。ベビーカーで行ける距離にあったらいい。子育てする人たちが集まってコミュニケーションが生まれていましたが、今は集まりにくいと感じています。

県のまちの子育て広場事業はすごく素敵な事業だと思います。いつでも気軽に行ける場所が身近にあればいいと思います。いつでもシニア世代が迎えてくれるような気軽に集まれる場所をいろんな地域の人たちが担ってくれたらいいなと思います。

若い人たちに住んでもらって賑わいを

実家が但馬にあるのですが、過疎化を心配しています。若い子育て世代の人たちも住んでもらって賑やかになれば、まちも変わってくるのではないかと感じています。いろんな人が助け合いながら生活できるようになったらいいと思います。

但馬は、夏は海、冬はスキーもできて空気もおいしいし本当にいいところだと思います。不便かもしれないが、子育てにはもってこいの環境ではないでしょうか。

下村さんの考える “2050”

これからの社会、地域への想い

子育てへの理解があればよい社会、地域になる
いろんな人が子育てを学ばなければならないと思っています。高校や中学で子育てを学ぶ場も絶対必要。子育てについて理解が進めば、もっと子育てがしやすくなるし、もっと良い社会、地域になるのではないでしょうか。

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