集中から分散へ
2021年6月10日・7月1日の2日間、大阪市立大学商学部 松永桂子先生のゼミナールにて、「ビジョン出前講座」を開催しました!
第1回は、将来構想試案の社会潮流「集中から分散へ」のシナリオについて、職員からレクチャーをさせていただきました。
その後、8名のゼミ生の皆さまには2グループに分かれて、3週間にわたり分散型社会実現への道筋について、議論や発表プレゼンの作成などワークショップを重ねていただきました。
分散型社会実現に向けた政策案の発表
第2回は、各グループが検討の成果として、それぞれ地域経済循環の観点と産業の観点から、事例を交えつつ、分散型社会実現に向けた政策案を発表してくださいました。
ゼミ生の皆さまには非常に熱心に取り組み、素晴らしい発表をしていただきました。 松永先生、ゼミ生の皆さま、ありがとうございました!
グループ発表で出された、分散型社会実現への道筋
政策案① 「ぐるぐる但馬」 発表者:チーム但馬牛
◆関連未来シナリオ
⑤磨かれる五国の個性 ⑲進む地域経済循環 ㉟地域のエネルギー自立 ㊱カーボンニュートラルな暮らし
◆展望
但馬の地域資源を活かした産業、エネルギー、人・モノの地域内循環圏を構築し、分散型社会を実現する。
◆内容
0.前提
・人口減少・少子高齢化、それによる雇用・産業の担い手減
・自然環境維持、地域経済の活性化の必要性
1.産業における循環
CLT(直交集成板)の普及
メリット:施工が早い 軽量 地震・火災に強い 端材はペレット材・バイオマス材に
活用事例:岡山県真庭市…バス待合所
タクマビル新館
展望:雇用の増加・木材による地域内収入の増加・地域内エネルギー自給の達成という好循環を生みだす
2.エネルギーの循環
エネルギーの地産地消
事例:朝来・木質バイオマス発電…製材から発電までを一か所で行い効率化
養父・メタンガス発電
新温泉町・温泉熱発電…電気代削減 防災拠点としても使用
展望:環境負荷を抑制するとともに、雇用を創出し、災害時にも電源として活用する。
3.人・モノの循環
公共交通の維持
事例:全但バス…貨客混載
夢但馬周遊バス・たじまわる…周辺地域に観光による経済効果を波及
グリーンスローモビリティ…住宅団地での走行で既存の公共交通を補完
シェアリングエコノミー・白タク…地域のNPOによる有償のタクシー
ドローン…空の道の整備 山地の新しい活用法に
展望:貨客混載や観光などにより公共交通を維持し、環境負荷を抑制するとともに、住民自らが交通をコーディネートする地域をつくる
政策案②「マルチキャピタル化計画」 発表者:チーム兵庫
◆関連未来シナリオ
④沸き立つ起業 ⑥ものづくり産業の革新 ㉖進化する自治体
◆展望
兵庫をマルチキャピタル化し、分散型社会を実現する。
◆内容
0.前提
・マルチキャピタルとは:地域の中心都市(Ex:神戸、姫路、豊岡)を活性化することにより、自然と近隣地域も発展し、産業・経済の分散が達成されるという考え方
・現在県内人口の6割が神戸に集中、多自然地域や姫路市は人口が域外に流出
→働き口をつくり就労者層の流出を抑制することで、マルチキャピタルが達成できる
1.姫路市がとるべき戦略① 起業誘致・起業促進
よりサービスを拡大させることが重要。起業する人へのプラットフォームが不足しており、優秀な人材を確保できていない。
神戸市と姫路市の企業誘致・起業促進施策の比較
■神戸市:本社オフィス向け支援制度(オフィス賃料補助 限度額1500円/㎡・月、年間1500万円、最長5年)、成長力のあるスタートアップ向け制度(3年間で最大1300万円補助)、産業用地向け価格・優遇制度(建物所得費4%以内補助)、特区制度(設備投資補助) etc.
→支援が充実 優秀な人材が集まりやすい
■姫路市:オフィス立地促進補助金制度(オフィス賃料補助 ①限度額750円/㎡・月 年間100万円 ②限度額1500円/㎡・月 年間200万円 期間3年)、工場立地促進制度(奨励金交付・条件あり)、企業立地のための低融資の斡旋(神戸市より限度額、利率、期間の面で劣る)
2.姫路市がとるべき戦略② 地場産業の発展
「メイドイン姫路」達成のために、地場産業発展のための施策が必要
Ex)後継者育成環境の整備、「豊穣の国・播磨」の発信、ブランド力強化
地場産業発展のための取り組み事例
・神戸:「神戸ブランド」のおしゃれなイメージをブランド化しPPPを行う
Ex)江崎グリコ「神戸ショコラ」…市民防災教育、食育支援活動も
・豊岡:「豊岡鞄」のブランド化、後継者育成のために育成所を設立、家賃補助も
・西脇:「旧来住家住宅」を核に「播州織」をPR
出前講座の概要
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